私は、海と地球環境と気候変動の関わりについて研究をしています。

 

人類は、地球環境の保全を念頭において、環境と共生していく事を目指さなければなりません。地球環境問題や気候変動など、人類が直面する様々な問題に海は大きく関わっています。

 

海は、熱や物質を地球の隅々まで行き渡らせる「地球の大動脈」であり、また様々な物質を除去する「地球の大静脈」でもあります。この海こそが、人類も含めた生物にとって住みやすい環境を作っているのです。

 

しかし、その仕組みは未だ分からないことだらけです。この謎に満ちた海を対象に、二酸化炭素や栄養塩などを採取・分析・解析し、地球環境問題・気候変動に対する海洋の役割を明らかにしています。水の惑星、この神秘な海についてはまだまだわからないことがたくさんあります。今、大気海洋化学が必要とされています。

 

海の表層から深海まで、そして、全地球規模から南極海・オホーツク海・北極海までの空間規模で、炭素循環・栄養塩循環に関わる全球統合的研究を行っているのは日本ではここだけと自負しています。化学的手法をもって地球系システムを解き明かすことは、エキサイティングで意義ある学問です。

 

旧ホームページはこちら

****************************************************************************************************************************

※大学院生募集:海の世界を研究してみませんか? 南極海に行ってみませんか?全地球的な研究をしてみませんか?さあ、未知なる知の水平線へ出かけましょう。

****************************************************************************************************************************

 

【新着・お知らせ】

2024.01.05-02.10

 PDの李さん、M1の蔡君が東京海洋大学・海鷹丸に乗船し、南大洋観測に参加してきました。今年は氷山が多かったそうです。

2023.09.27 & 12.18

PDの潘君の研究内容がNature系のCommunications Earth & Environmentに受理され、掲載ました(当研究室所属は太字)。Pan XL, Lai, X, Makabe R, Hirano D, Watanabe YW (2023): Spatiotemporal high-resolution mapping of biological production in the Southern Ocean. Communications Earth & Environment, 4, 488 (2023), doi: https://doi.org/10.1038/s43247-023-01067-y. パラメタリゼーション技術とアルゴデータを組み合わせる斬新なアイデアを用いて、南大洋の広域的で高確度な生物生産量の世界初の見積りを記した論文。科研費・基盤Sの重要な成果の一つ。https://kakens-sopara.jimdofree.com/

2023.02.28

PDの李さんが申請していた日本学術振興会・科学研究費補助金:若手研究が採択されました。南大洋における海洋酸性化進展の時空間的なマッピング」

 

2023.02.15

南極海の海洋観測に行ってきました

(2023.01.09–2023.02.11)

 

南極海はやっぱり凄い。本当に地球科学やってて良かった。

南極最高!

 

 

(南緯65度、深海底まで海水を採取・観測できる機器を夕日をバックに降ろしているところ)

2022.10.03

研究生として王さんと蔡君が新しく研究室メンバーに加わりました。

2022.09.26

M2の頼祥星君が修士を終了し卒業しました。おめでとう。タイトルは"Spatiotemporal high-resolution mapping of biological production in the Southern Ocean"

(左:卒業BBQ、札幌豊平川河畔にて)

2022.07.29

北大・水産学部・今井圭理さんとの共著、福島原発事故由来のセシウムの海洋表面の行方を明らかにし論文が国際学術誌に受理されました。

Imai K, Watanabe YW (2022): The reducing rate of radiocesium Cs-137 in the North Pacific surface water after the TEPCO fukushima Dai‑ichi nuclear power plant accident. Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 331, 3847-3855, doi: org/10.1007/s10967-022-08403-0. 不幸な事故、2011年の福島原発事故によって放出されたセシウムが北太平洋でどのように広がり、どのように海洋内部へ除去されていったのかを克明に示した論文。

2022.04.27

日本学術振興会・科学研究費補助金:基盤研究(S)が採択されました。

2022~2026年度:「次世代南大洋海洋観測に対するパラメタリゼーション技術の開発と展開」

代表:渡辺豊 分担者:平野大輔・真壁竜介・田村岳史(極地研)、溝端浩平(海洋大)、中野善之・草原和弥(JAMSTEC)(順不同)

南大洋の氷床融解と海洋生態系物質循環の相互作用の包括的な実態解明を目指します。最後に、大学・研究所・学振・審査委員の関係者の皆さん、貴重な時間を割いて対応頂き、誠に有難うございました。

2022.03.28

南極観測隊として無事帰国しました。しらせの皆さん、大変お世話になりありがとうございました。厚く御礼申し上げます。

 

2021.12.21〜2022.01.13

南極大陸・昭和基地に到着、滞在しています。ここで新年を迎えました。白だけの世界。大気・氷床・海、すべてが自然の世界。地球科学をやってきて本当に良かったとつくづく感じます。

 

2021.12.24

D2の潘 君の2つ目の研究内容がNature系のScientific Reportsに受理されました(当研究室所属は太字)。Pan XL, Li BF, Watanabe YW (2022): Intense ocean freshening from melting glacier around the Antarctica during early 21th century, Scientific Reports, 12, 383, doi: org/10.1038/s41598-021-04231-6. 化学データと新規見積り法を用いて、時空間的に高分解能な南極氷床の融解速度を見積もった論文。

2021.10.08

学術論文が掲載されました(当研究室所属は太字)。

Watanabe YWNakano Y, Nishioka J, Ito M (2021) : Change of nitrogen chemical tracer N2* between the Okhotsk Sea and the subarctic North PacificProgress in Oceanography, 199, 102693, doi:org/10.1016/j.pocean.2021.102693.オホーツク海と北太平洋の間での窒素ガスのやり取りを化学トレーサーN2*で定量的に初めて明らかにした論文。

2021.09.10

ポスドクの李さんが文科省で南極地域観測隊員として正式隊員に決定しました。外国籍で南極に行くのはすごい!日本の度量もすごい!

2021.06.30

渡辺が文科省で南極地域観測隊員として正式隊員に決定しました。

 

2021.06.15

私・渡辺とポスドクの李さん2名が、本年度、南極地域観測隊員(夏隊)として南極観測に臨みます。

2021年11月〜2022年3月までの間、南大洋、昭和基地周辺、南極大陸周辺の研究観測を行ってきます。すごく楽しみです。

 

今、われわれの研究グループでは、南極を基盤とする気候変動研究、南極の海を通した地球の物質循環研究が今熱く、最高に面白い。

2021.03.03

学術論文がNature系のScientific Reportsに掲載されました(当研究室所属は太字)。

Ishida H, Isono RS, Kita J, Watanabe YW (2021): Long-term ocean acidification trends in coastal waters around JapanScientific Reports,  11, 5052, doi: 10.1038/s41598-021-84657-0. 日本海側および太平洋側の定点2点での長期間にわたる海水のpH観測値を用いて、日本近海の海洋酸性化を高時間分解能で定量化し、外洋域に比べて急激に海洋酸性化が進んでいることを明らかにした論文。

2020.12.22

研究コラムが掲載されました。

「海洋酸性化と有効数字」ぶんせき 2020年12月号 ロータリー, 503

2020.09.25

D1の潘 君が日本学術振興会・特別研究員・DC2に内定しました。

2020.09.13–09.18 

来年初めから行われる南極海観測の事前訓練のため、砕氷船・しらせに乗船し、佐世保から舞鶴まで乗船しました(佐世保港の「しらせ」をバックに)。

 

今まで乗船した観測船の中で最も大きなものでした。乗組員の皆さんには大変ご協力を頂きありがとうございました。

2020.06.02

D1の潘 君の研究内容がNature系のScientific Reportsに掲載されました(当研究室所属は太字)。

Pan XL, Li BF, Watanabe YW (2020):  The Southern Ocean with the largest uptake of anthropogenic nitrogen into the ocean interior Scientific Reports, 10, 8838.

南緯30度以南における南大洋全域の水深0m〜海底面までの硝酸塩濃度を復元出来るパラメタリゼーションを開発し、この方法を用いて、南大洋における人為起源硝酸濃度の分布の詳細を明らかにするとともに、南大洋が全球的に放出されている人為起源硝酸量の70%にも及ぶ量を海洋内部へ取り込んでいることを明らかにした論文.

2020.04.01

日本学術振興会・科学研究費補助金:新学術領域研究(公募研究)が採択されました。

●2020~2021年度:代表 渡辺豊
「南大洋縁辺部における準リアルタイムな人為起源二酸化炭素の動態解明」

南大洋の炭素循環研究に、より一層がんばります。

2019.11.12

学術論文が受理されました(当研究室所属は太字)。

Watanabe YWLi BF, Yamasaki R, Yunoki S, Imai K, Hosoda S, Sato K, Nakano Y(2019) :Spatiotemporal changes of ocean carbon species in the western North Pacific using parameterization technique. Journal of Oceanography, doi: 10.1007/s10872-019-00532-7. 日本沿岸域を含む西部北太平洋における炭酸系物質の媒介変数化を開発し、その技術を用いて日本近海の人為起源CO2の取り込み速度や海洋酸性化の程度を定量的に明らかにした論文.

2019.09.25–09.28

M2の潘 君、ポスドクの李さん、渡辺の3名が、日本海洋学会秋季大会・富山大会にて、以下の口頭発表を行いました(当研究室は太字)

潘先亮・李勃豊・渡辺豊: 南大洋における時空間高分解能な海洋系外窒素(Nex)の動態の見積り.

李勃豊・潘先亮渡辺豊: 南大洋における人為起源と非人為起源のCO2の10年変動.

Watanabe YW: Use of man-made geochemical transient tracers to oceanography in the past several decades (from GEOSECS to GEOTRAES).

2019.08.24–09.07 

北大のスイス氷河実習(南極特別実習I:地球雪氷学実習)の引率でスイスに来ています。

 

深層循環に大きな影響を与える地中海中層水。そこへ流れ込む大河・ローヌ川の源流・スイス。毎年、氷河が後退。氷河・河川・海と世界がリンクし地球環境が形成されていることを実感。

 

 

(マッターホルンの近くになるに、ゴルナー氷河をバックに)

 

 

2019.04.25

M2の潘君と柚木君、ポスドクの李さん、渡辺の4名が、SOLAS open Science conference 2019 (2019年4月21–25日、北大)において、以下のポスター発表を行いました(当研究室は太字)

Pan X, Fujita K, Li BF, Watanabe YW: Evaluation of oceanic anthropogenic fixed nitrogen in the western North Pacific and the Southern Ocean.

Yunoki S, Yamasaki R, Li BF, Watanabe YW: Spatiotemporal changes of ocean anthropogenic CO2 and ocean acidification in the western North Pacific by using parameterization.

Li BF, Watanabe YW, Hosoda S, Sato K, Nakano Y: Quasi-real-time and high-resolution spatiotemporal distribution of anthropogenic CO2 in the subarctic North Pacific.

Watanabe YW, Nakano Y, Nishioka J, Ito M: Dynamics of fixed nitrogen cycling between the Okhotsk Sea and the North Pacific.

2019.04.04

学術論文が受理されました(当研究室所属は太字)。

Li BFWatanabe YW, Hosoda S, Sato K, Nakano Y(2019) : Quasi-real time and high-resolution spatiotemporal distribution of anthropogenic CO2Geophysical Research Letter, doi: 10.1029/2018GL081639. 北太平洋における炭酸系物質の媒介変数化を水深2000mまで可能とし、自動海洋観測ロボット(Argo)データに適用することで、詳細な海洋の人為起源CO2の分布を明らかにした論文.

2019.04.02

日本学術振興会・科学研究費補助金:基盤研究(C)が採択されました。

●2019~2021年度:代表 今井圭理さん(北大水産学部おしょろ丸オフィサー)
「日本沿岸海域における海洋酸性化の動態予測手法の開発」

分担者:渡辺豊  

海洋酸性化の研究により一層がんばります。

2019.02.06 

南極海の海洋観測に行ってきました

(2018.12.27–2019.02.01)。

 

世界の気候を決めている南極底層水(AABW)を間近に見て、大いに感動し、気候変動研究によりいっそうがんばる決意しました。

いや〜、南極最高!海洋学やってて良かった。

 

 

(南緯64度、氷山をバックに、半袖にてやせ我慢の記念写真)

北大・工学部3年・須賀俊文さんが、私の話をもとに、北大広報誌プリズム(CoSTEP)に「めぐる深海、太陽のめぐみ」と題して、童話の挿絵のような素敵な絵と文章を書いてくれました。